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春日井 好己; 原田 正英; 甲斐 哲也; 大井 元貴; 明午 伸一郎; 前川 藤夫
JAEA-Data/Code 2015-033, 28 Pages, 2016/03
J-PARC、物質・生命科学実験施設(MLF)の水銀を使った核破砕中性子源周りの高エネルギー中性子束及びスペクトルを、多数箔放射化法で測定した。この実験で使った中性子反応のしきい値は0.1から50MeVであった。実験における箔の照射は、2008年5月30日から31日にかけて実施されたMLFにおける初めてのビーム運転の際に行われたものである。照射後、各金属箔の放射能をHPGe検出器で測定し、中性子誘導反応のターゲット周りにおける反応率分布のデータを得た。これらのデータを使い、各測定位置における高エネルギー中性子束及びスペクトルをアンフォールディング法で導出した。その際、初期スペクトルとしてPHITSによる計算値を用いた。初期スペクトルとアンフォールディングスペクトルを比較したところ、計算結果(これはMLFのターゲット集合体の中性子工学設計の基礎となったものであるが)は、実験値に30%で一致することがわかった。
春日井 好己; 池田 裕二郎; 山本 洋*; 河出 清*
Annals of Nuclear Energy, 23(18), p.1429 - 1444, 1996/00
被引用回数:24 パーセンタイル:86.64(Nuclear Science & Technology)13.3から15.0MeVにおける(n,p)反応の励起関数の系統性を調べ、質量数が18から188までの標的核について、14.0MeVでの断面積および傾きを表す経験式を提案した。式の導出には、原研FNS及び名大グループが系統的に測定したデータを用いた。14.0MeVでの断面積についての本経験式は、過去に提案された標的核の質量数が18から188までを対象とした式の中で最も精度の高い結果を与えた。励起関数の傾きの系統性については本研究が初めての試みである。本研究により励起関数の相対的な傾きが標的核の非対称度、反応のしきい値及びクーロン障壁に依存することが明らかになった。経験式を用いて求めた推定値と測定値を比較すると、70%の測定値が20%の精度で推定値と一致し、推定値は十分な精度であることが示された。
丹澤 貞光; 小林 晋昇; 藤城 俊夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(4), p.281 - 290, 1993/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)軽水炉の運転状態を模擬した高温高圧の冷却材条件下で、反応度事故(RIA)時のPWR型燃料棒の過渡挙動を調べる実験を実施した。実験では試験燃料棒を原子炉安全性研究炉(NSRR)でパルス照射することにより、反応度事故時の過渡出力の発生を模擬して行なった。試験の結果、高い外圧の下で被覆管のつぶれが発生したが、基本的な初期燃料破損のメカニズム及びしきい値となるエンタルピは、大気圧、室温及び静水条件における試験で得られた値と同一であることが明らかになった。
丹沢 貞光; 石島 清見
JAERI-M 91-183, 31 Pages, 1991/11
本報告書は、NSRRにおけるパラメータ実験の1つである冷却材温度パラメータ実験の結果についてまとめたものである。本実験は、初期冷却材温度を60C及び90Cと標準冷却材条件における実験の場合と比べて高めることにより、初期冷却材サブクール度の違いに基く被覆管表面の熱伝達の相違が燃料破損挙動に及ぼす影響を調べることを目的としている。これまでの実験から、冷却材のサブクール度が低下すると、被覆管表面での熱伝達が悪くなることにより、標準冷却材条件における実験の場合と比較して、同一発熱量に対する被覆管表面の温度上昇は初期冷却材の温度差以上に大きくなることが確認でき、その結果、破損しきい値が低下すること等が明らかになった。
馬場 祐治; G.Dujardin*; P.Feulner*; D.Menzel*
Physical Review Letters, 66(25), p.3269 - 3272, 1991/06
被引用回数:24 パーセンタイル:78.27(Physics, Multidisciplinary)固体アルゴン及びクリプトンからのAr、Ar、Ar及びKrイオンの電子衝撃脱離(ESD)挙動を10~120eVの照射エネルギー範囲で調べた。脱離に必要な照射エネルギーのしきい値は、Ar及びArで24.2eV、Krで30eVであった。またArはArの生成に対応する84eVにおいて初めて脱離する。Arの脱離では、24.2eV、25.4eV、34eV、50eVに共鳴構造が認められた。前者2つの構造は、表面及びバルクに存在する隣接する2原子のエキシトン生成に対応する。25.4eVの脱離ピーク強度の厚み依存性を調べたところ、バルクのエキシトン対の拡散は、100層以上にも及ぶことが明らかとなった。
塩沢 周策; 斎藤 伸三
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(12), p.1051 - 1063, 1986/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)反応度事故条件下でのステンレス鋼被覆燃料棒の破損挙動を究明するため、NSRRにおいて炉内実験を実施した。その結果、燃料棒の破損機構は被覆管の溶融であり、破損しきい値は、ほぼ同寸法のジルカロイ被覆燃料棒と比較して約20cal/giUOであることが分かった。また、燃料棒破損に伴って発生する機械的エネルギーの発生しきい値は約380cal/giUOであることが明らかになった。さらに、ジルカロイ被覆燃料棒と異なり、燃料棒が破損しても必ずしも燃料棒は分断しないこと、被覆管温度は同一発熱量でジルカロイ被覆燃料棒より低いこと等が明らかになった。
斎藤 伸三; 石島 清見; 丹沢 貞光; 塩沢 周策; 大西 信秋
JAERI-M 8087, 42 Pages, 1979/02
本稿はNSRRで行なった初期ギャップ幅パラメータ実験の結果について述べたものである。実験は、初期ギャップ幅がそれぞれ0.195mm、0.095mmおよび0.050mmの三種類の試験燃料を用いて行ない、1)被覆管表面でDNBが発生する発熱量は初期ギャップ幅の相違によって顕著に変化すること、2)発熱量が200cal/g・UO以上になると被覆管表面温度の最高値は初期ギヤップ幅の相違にほとんど依存しなくなること、3)破損しきい値は、初期ギャップ幅が狭い程低くなる傾向にあるが、その値の相違はそれ程大きくないこと、4)破損機構は初期ギャップ幅の相違によって変化しないこと、5)燃料の温度挙動および変形挙動を理解するうえでペレットの変形の正確なモデル化が今後の課題となること、等の重要な結論を得た。
岩田 忠夫
日本原子力学会誌, 16(5), p.231 - 240, 1974/05
放射線の照射による固体の原子のはじき出し、すなわち格子欠陥の生成について、黒鉛の場合を中心にして、実験結果をまとめて総説として寄稿したものである。格子欠陥の生成過程についての次のような基本的性質について議論した。それらは(1)原子のはじき出しのしきいエネルギーの異方性、(2)原子のはじき出しのカスケード、(3)原子のはじき出しにおよぼす照射温度の影響である。